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古い記憶を思い返したように、くすりと笑う。
「ふふ! 思い出すわ。
ここ、私が個人的な休憩部屋にしちゃったの。
お店の立ち上げの頃よ。
最初はスタッフが極端に少なくてね。
どうしても納品が間に合わないこと、しょっちゅうだった。
それで皆を家に返したあと、徹夜作業が続いたわ。
ここに寝泊まりする日が続いたから
やがてベッドまで持ち込んで…」
ティーカップにお湯を注ぎながら、懐かしそうな顔をする。
「そう、私の第2の家ね。
でも汚い部屋だから、みんなに見せるのは恥ずかしかった。
それでいつもは鍵をかけているの」
店長は温かい湯気の出るカップを差し出しました。
「はい、セントジョーンズワートティ。飲めるかしら?」
慎重に起き上がり、受け取ったハーブティをひとくち、頂いた。
甘みと少しの苦味がいい感じ。
草とか木の香りが鼻を抜ける。
ちょうどいい温度で、口を湿らし、喉に潤いを与えてくれました。
「ハーブティって、不安とか興奮を抑えてくれるのよね。。
だから、ちょっと怒ってたり、慌ててたりするお客様がいたら
この部屋にお通しして、ふるまうの。
少し時間はかかるけれど、話を聞いてあげたり
もらったりするうちに、判ってくれる方は多いわ」
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