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「そうだ! きっと何か他の出し物を観に来たんだよ!」
うなだれていた一来が、ガバッと顔をあげ、同意を求めるように三人の顔を順番に見た。どうやらあまりステージを見に来て欲しくないようだ。
(なぜでしょう? 一来のドラムはかなり上達しましたし、そもそも私も一緒に叩くのですから、演奏に心配はいらないはずですが)
疑問がわくが事実は曲げられないので、はっきりと否定する。
『それはありません。あれはただの黒い服、というよりも……』
「そうね、ゴスメファッションね。それに、あれを見て。」主人が一人を指さす。「Black & Roseのアクセサリーよ」
主人の指の先に立っている少年の首には、銀色の鎖のネックレスが二重に巻かれている。そしてところどころに黒い薔薇や王冠のモチーフが付いていた。さらに黒い服の集団をあらためて見てみると、やはりBlack & Roseのアクセサリーを付けている人が目立つ。
「間違いなく、私達を観に来た人達ね」
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