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「ごめん……、アイラ、一来。二人とも、ごめんなさい……」
いつかは頭を下げた。
「なにが」主人の声が平らに響く。質問でもなく、怒りでもなく。
「いつかちゃんが悪い訳じゃないだろ」一来がいつかの肩に手を伸ばす。「顔をあげなよ」
「二人は分かってないんだよ。いい? あの人たち……」
窓を指さすいつかの指先が小刻みに震えている。先ほどまでは応援してくれると思っていた客は、今ではほんの数十分後に敵意を向けて来るに違いない正体不明の集団となって、押し寄せてきている。黒い服はさながらサバトに赴く人々の群れのようだ。
「私たちがDeath Crowじゃないと知ったら、暴徒化してもおかしくないんだよ。そうでなくても、ひどいヤジが飛ぶだろうし、リアル炎上するのはほぼ確実なんだよ!」
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