『 In my Fire Wallー心の鎧ー』

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『 In my Fire Wallー心の鎧ー』

 講堂は黒い服の集団に溢れ、異様な熱気に包まれていた。制服の生徒たちも熱気にあてられたのか顏を紅潮させ、押されては押し返している。  期待に満ちたざわめきは、ガシャン、という音をたてて照明が落ちるのと同時に、湧き上がる歓声に変わった。  戦いに行く前のような高揚感が三人の間に満ちている。逆光の中、シルエットになった三人が後ろ向きに立つ。  逆光、シルエット、後ろ姿。それでも一瞬にしてDeath Crowではないと悟った観客に、つかの間、戸惑ったような沈黙が不穏な空気となって漂った。そして……、  嵐が吹き荒れた。  「火野じゃない!」  一人が声をあげると、あとは怒声が降り注ぐ。  「虎を出せ!」「出せ」「出せ」「出せ」  「帰れ偽物ォ」  「見たくねえんだよ!」  「詐欺師ィィィィ……!」  「帰れ!」「帰れ!」「帰れ帰れ帰れ……!」  バンっという音とともにスポットライトが点くと、アイラがステージにはっきりと浮かび上がった。体を回転させ観客席に向き直ると、ブルーアイが燃える宝石のように(きら)めく。  黒いドレスは足の付け根近くまで深くスリットが切られ、シースルーの生地に切り替えが入り、網タイツに包まれた長い脚が透けて見える。プラチナのチョーカーにつけられた25セント硬貨が照明を反射して、観客を幻惑する。
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