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「おや。黒炎じゃないか。いいのかい? あの坊や、必死じゃないか」
『邪魔をしにきたのですか?』
「無粋だねぇ。あたしはただ、アイラの唄を聴きに来ただけさ」
目を細めて紅霧を見たが、その言葉が嘘なのか本当なのか判別がつかなかった。
『浅葱先生を鏡から出してください』
「あたしももう充分、この先生からは精命をいただいたから、もう用済みなんだけどね。余程居心地がいいのか、出て行かないのさ」
紅霧は鏡を取り出して、フラーミィに向けて見せる。横たわり、眠っている浅葱先生が居た。
『寝ているからじゃないですか?』
そうは言ったものの、浅葱先生の影が言った「入れ替わることを望んでいる」という言葉が頭をよぎる。
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