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浅葱先生がステージに向かって小さく頷いた。
『さて、モンスターママがこちらに歩いてきましたよ。浅葱先生の戦場は、どこですか?』
浅葱先生はまるでサメでも近づいてくるのを見ているような目をして、徐々に大きくなっていくモンスターママの姿を見つめた。
まだ何も言われていないし、相手は加工した画像を流出した犯人なのだから、強気に出てもよさそうなものだ。主人がこの場にいなくてよかった。歯がゆさをこらえきれず、浅葱先生をどやしつけて、モンスターママ以上に傷を負わせてしまうかもしれない。
「浅葱先生」
ステージの音に負けないように声を張り上げるモンスターママの周りには、もう浅葱先生を援護してくれる影羽虫もいない。影は影に戻ってしまったのだ。
「偽物がステージに立っているじゃありませんか! SNSにはホンモノのDeath Crowが出ると書いてありますよねえ?」
モンスターママは嫌味たっぷりの口調で言いつのり、得意げにスマートフォンの画面を開いて、見せつけてくる。
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