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「返して! 返してください!」と浅葱先生に詰め寄りスマートフォンに手を伸ばす。
「泥棒! 返せ!」
浅葱先生は高々とスマートフォンを頭上にあげ、モンスターママの手からゆうゆうと逃れて操作を進める。
「勝手にそんなことしていいと思っているんですか? プライバシーの侵害ですよ!」
「はい。そうですね。でも僕は……、もし自分がプライバシーの侵害で訴えられようとも、生徒を守りたいのです」
モンスターママのアカウントが画面に表示される。下へ……下へ……、スクロールしていく。
「ごめんなさい!」
モンスターママは叫んだ。
「そんな悪気があった訳じゃないんです。ちょっとした出来心でっ」
目は浅葱先生の手元から離さずに、何度も浅く頭を下げる。
「あなたがやった?」
浅葱先生の銀縁の眼鏡が光る。
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