『その蜘蛛の名は、マミちゃん』   

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 「何かあったのかな? 一来君の困っている人レーダーが曇るなんて……」  いつかは、考え込んでいる一来の横顔に向かって心配そうに呟いていたが、急にハッとしたように身を翻すと私に視線を移した。  「そうだ! ねえ、フラーミィ。今日の帰り一来君のあとをつけられない?」  「ちょっと! いつも言っているじゃない。私は他人のために……」主人が言いかけるのを、『はいはい』と軽く遮って『残念ですが、一来に限ってはできません。私の香りで後を付けていることがバレてしまいますから』と、いつかに説明する。  「そうなの? そっか。一来君、鼻がいいんだね。じゃあどうする? アイラちゃん」  「仕方ないわね。でもまあ、私も気になるし。わかった。任せておいて」  主人はなぜか楽しそうに頷いた。
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