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「人助けしたとき楽しそうだったし、紅霧、心を入れ替えたんじゃないかな?」
一来はいつかの言葉に援護をもらい表情を明るくして言う。
主人は腕と足を組んで、ベンチの背もたれにふんぞり返った。
「そんなことあるわけないじゃない」
「でも助けてくれたのは事実だろ?」
一来は身を乗り出して反論する。
『一来、私たちには人間でいう善悪の観念はありませんから、心を入れ替えることもありません』
私の説明に、いつかが人さし指を唇に当てて口を挟む。
「そうかなぁ? だってさっきの男の子が池に落ちそうになったところを助けてくれたんでしょ?」
「そう思うだろ?」
一来が体を乗り出して、主人の向こう側に座っているいつかに同意を求める。
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