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「私のおばあちゃんも影と話せたよ。隔世遺伝なんだね。私はアメリカ人と結婚したから、もしかしたらアイラには受け継がれないかと思ったけど、関係なかったね。アイラのパパはアメリカ人とのハーフだし、ママはフィンランド人なんだから」
「そうだね」
桐子は孫娘を慈しむように見つめ、やがて瞼をパチパチとまたたかせると、「アイラ」と呼びかけた。
「そろそろアイラにも話しておこうかね。私も私のおばあちゃんに聞いた昔話なんだよ。影を操る者にだけ、口から口へ一世代おきに伝えられてきた話だよ。だからアイラのお父さんもお母さんも知らない話。いいかい? よく覚えておいておくれ」
「うん……」主人は小さな少女のように、こくりと首をうなずかせる。
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