『血の色は、何色?』

3/12
前へ
/311ページ
次へ
 いつかの混乱ぶりにはまったく構わず、「マミちゃんに危険な事はさせてないわよね?」 と、主人が顔を覗き込んでくる。  なかなか鋭い。紅霧が関わっているとすれば、危険がないとは言いきれない。しかし……。  『見張らせているだけだから、大丈夫だよ』  幼少期の少女特有の高い声で嘘をつく。  「それで、どこに寄ってるの?」  『ここ。塩山中学校近くの中央公園だよ』  「ここ? ただの公園じゃない。通学路というだけなんじゃないの?」  「違うよ、アイラちゃん。中央公園は、一来君の家と方角が合わないもん」  と、なんとか立ち直ったらしいいつかが口を挟む。  「……あっ、そう。それじゃあ、一来は公園で何をしていたのよ」  私は口の中に残っていたタピオカをすばやくかみ砕き、飲み込んだ。くぐもった声で話して、聞き返されたい内容ではないからだ。  『……紅霧の鏡に血を落としていたんだって』
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

262人が本棚に入れています
本棚に追加