『血の色は、何色?』

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 「お行儀が悪いわよ、フラーミィ!」  主人の叱責が飛ぶ。バレてしまった。ペロっと舌を出して誤魔化す。  『いつもの調子が出て来たじゃない、アイラ』  首をすくめて唇の片端を挑戦的にあげてみせると、主人は頬をこわばらせ、口の中で歯ぎしりの音を立てた。  主人はカップを両手で持ち上げ、ストローを口に含むと、「タピオカミルクティー美味しいわあ」とズズッと音を立てて、最後のタピオカを吸い込み、ゆっくりと口の中のタピオカを噛み砕いた。  『あーっ! 私がもらったタピオカミルクティーだったのにぃー!』  ちびアイラの声では迫力に欠けるが言わずにはいられない。  チビアイラ姿の金色の髪が浮き上がり、足元にはつむじ風が渦を巻く。ベンチに置いてあった紙ナプキンがフワリと浮き上がった。タピオカドリンクと一緒に手渡されたものだ。
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