『血の色は、何色?』

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 いつかが身を乗り出し、小さな声ながら強い口調で言う。公園に溢れているタピオカドリンクを片手に持った少女たちに聞こえないように声量を抑えたのだろう。  「そうだとしても。一来がそうするだけの理由があるはずよ」  『そうだね。一来は物欲ではほだされないだろうしねーっ』  いつかに向かって首を思い切り傾げる。  「もー、ちびアイラまで! 反省しているってばー! このこのこのー!」  いつかが私の髪を激しくかき混ぜてきたので、頭がグラグラと揺れた。主人が笑った拍子に、ベンチに置いてあった空っぽのタピオカミルクティーの容器に手がぶつかって倒れ、軽い容器が束の間、ふらふら転がった。
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