『血の色は、何色?』

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 「じゃあ一来くんも精命が多いの?」  『一来の場合は、髪に含まれる精命はさほど多くはありません。いつかの方がよほど多いくらいです。しかし……』  「しかし、何?」  『血に含まれる精命の量が桁違いなのです。これはとても珍しい事なのです。そのため紅霧は後夜祭ライブの時から一来に目を付けていたようでした……ふぇ?』  思わずおかしな声をあげてしまったのは、主人がうつむいて肩を震わせていたからだ。  『あの……、アイラ……? 大丈夫ですか……?』  泣いているのだろうか? まさかと思いつつ、主人の肩に手を伸ばしかけて、空中で手が止まった。  「紅霧ぃぃぃぃぃぃ……!」  地獄から響いてくるような声が主人の唇から漏れてきた。カバンを掴んで立ち上がると、  「一来の血を奪おうなんて、百万年早いのよ! ちょっと本当はいい奴なのかも、とか思った自分を殴りたい! 必ずおばあちゃんを鏡から助け出して、紅霧をただの物言わぬ影にもどしてやるから!」と宣言した。  そして「行くわよ!」と私といつかを血走った瞳で睨んで言った。  睨まれる覚えはない、という抗議を差し挟むどころか、行き先を確認する余地すらない。私といつかは黙って頷きを交わすと主人の後を追った。
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