『鏡の中の少女』

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※※※※※  数日後の放課後、いつかのクラスは控え目な静寂に包まれていた。生徒たちが互いにそっと耳打ちし合ったりしてチラチラと視線を送っている先では……。  「いつか、行くわよ」  主人がいつかの机の前に腕を組んで陣取り、急かしていた。  「アイラちゃんが私のクラスに来るの、初めてだね!」  嬉しそうな声で言いながら、いつかは教科書をカバンに詰めていく。  「そうだった? そんなことどうでもいいから、早くしてくれない?」  足元に置いてあった青いリュックを勢いよく背負う。もう置いていくわよ、と言わんばかりだ。  「アイラちゃん、お待たせっ」  ようやくいつかが立ち上がった。早足で教室のドアに手をかけると、廊下側から教室に入ってこようとした人物とぶつかりそうになった。
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