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『フラーミィは一来に見つかった』
「早く行って、ブラック・フラーミィ」
『アイラ、何度も申し上げていると思いますが、私はブラック・フラーミィなどという名前ではありません。黒炎と正しく呼んでくださいといつもお願いしているじゃないですか』
「くろめほむら、なんて舌を噛みそう。意味が同じなんだから、いいでしょ? かわいいじゃないの、フラーミィって。ラテン語読みなのよ」
太ももまである黒いソックスを履いた、すらりとした足が地面を蹴る。ドン、という衝撃で金髪のツインテールが揺れる。なかなかの迫力ではあるけれど、幼い頃からいつも一緒の私には、脅しの効果は全くないので、冷静に反論を試みる。
『音は大事なのです。私達にとっては……』
「ああ、ほら。また並んじゃったじゃないの。早く行って! 後で精命を奮発してあげるから」
精命を奮発……。甘い響きに頬が緩む。
『ふう。仕方ありませんね……約束ですよ』
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