『キラルの世界』

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『今、何センチ開いていますか?』 ーーええと、四十四センチだけど……ーー もはや選択の余地はないようだ。  『いつか、今すぐ積み上げた物を登って、鏡から抜けてリアル世界に戻ってください』  冬矢と戦いながらいつかと話す。  ーーう、うん。でも……、皆は? ーー  『すぐに行きます! 早く!』  ーー分かったーー  耳を澄ませて、積み上げた机やイスをいつかがよじ登る音が聞こえてきたのを確認し、小さく息をつく。  
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