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「それでそれで?」
いつかと一来が体を乗り出した。
『被害者は三人とも、塩山中学校の男子学生でした』
「塩山……?」
どこかで聞いたような? と首をかしげる主人に、一来といつかの抗議の声が完璧に重なった。
「「奏多(ちゃん)の学校だろ(だよ)」」
「……うるさいわね、わかっていたわよ」
「あっ、じゃあまさか、ピュリュが……?」
いつかが一来を探るように見る。
「ま、まさか! もうあんなことはしないって!」
一来が降参するように両手を挙げる。ピュリュが何かをするなら、一来が血を提供したはず、という疑いを必死に否定する。
「”絶対に” しない?」
主人が人差し指と中指を立てて、一来に向かって曲げる。隣でいつかもうなずきながら、カニのようにチョキにした指を曲げて一来を軽くにらむフリをする。
「しない! 誓う!」
一来が悲鳴をあげると、主人といつかは目を見交わしてくすくすと笑いをもらした。
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