『紅霧は突然に』

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 「作戦会議をするのだから」と紅霧に急かされ、主人は一来といつかにスマートフォンからメッセージを送った。いつかのスマートフォンからはすぐに行くと返信があった。しかし一来は気が付かないのかしばらく待ってみても既読マークすらつかない。  「電話してみようよ」  一来からの返事を待つうちに到着したいつかが電話してみたが、呼び出し音が不吉に鳴り続けるだけで誰も電話に出ることはない。何度目かに電話かけた時、一来の携帯電話の方から切られ、その後は何回掛けなおしても繋がらなくなってしまった。  「フラーミィ、おかしいと思わない?」  『そうですね。一来らしくありません』  通話が繋がらなくても、いつもの一来なら後でかけなおしてくる。呼び出し音の途中で切ったなら、理由をメッセージアプリで伝えてくるはずだ。ただ電源を切るというのは、よほど携帯電話の使用がはばかられる場所にでもいるのだろうか?   「一来君、電車にでも乗っているのかなあ? でもそれならLINEくらい……」  いつかは連絡がくるかも、と諦めきれないのか、スマートフォンを手から離さずに言う。  『一来にはマミをつけてあります。ただ……戻って来ないと居場所がわかりませんが」  「マミちゃんなら、しおり糸を残してくれているかも」
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