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「冬矢の影がまた誰かを襲う前に、鏡の中の冬矢に、奏多は報復など望んでいないからやめるように説得してもらえないかい? 本体が止めれば影も踏みとどまるはずだからね。それともあいつらに報復して欲しいかい? それなら無理には頼まないけど」
「ボクは報復なんて望んでないよ。やりかえして欲しかったなら、ピュリュにやってもらうことだってできたんだから」
「そういえば、そうね。なぜやっつけてもらわなかったの?」
主人がいかにも惜しい事をした、とでもいうように尋ねる。
「もともとは、あいつらとも関係は悪くなかったんだ。
だけどボク一人が水泳の大会で勝ち進んだ。皆はもう試合は終わっているから、練習もなんとなく気が抜けてた。今ならそれも仕方ないと分かるけど。あの時はボクも必死だったし周りが見えてなかったから」
「あんたたちのいい方で言うと、温度差、ってやつかもねえ」
紅霧が解説を挟む。
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