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「フラーミィにも私がこれから成すことを、知っておいて欲しい。そしてアイラをまもっておくれ」
「承知しております、桐子」
「いい子だね、フラーミィ。……さて、紅や。今までお前には無理をさせてきたね」
「無理なんかしてないよ、桐子。私が望んだことじゃないか……」
拗ねたような紅霧の声が、桐子に甘えている。
「私のために、望んでくれことだろう?」
「同じ事さ。桐子の願いを叶えることが、私の望みなんだから」
「紅……」桐子が柔らかく微笑む。「さあ、二人ともよく聞いておくれ。白の鏡と黒の鏡は、表と裏、一対だ。だからね、黒の鏡で何が起きているのか、白の鏡にいる私には、なんとはなしにわかるんだ。」
窓も扉も閉め切ってあるのに、クチナシの香りが強まり空気が揺れる。紅霧が昂っているのか、桐子が命を燃やしているのか……? どちらだろう。
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