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「黒の精命が……あと少しで満ちる」
「こんな夜更けに? どうやって……」
『やはり……、ターゲットが変わったのですね?』
紅霧は不思議そうにしていたが、奏多に彌羽学園の文化祭には三人しか来ていなかった、と聞いた時から、もしかたら、と思っていた。
「そうさ。このターゲットに冬矢の影が手をかけたら、黒い精命は鏡からあふれ出るだろうさ」
「それでそのターゲット、ってのは誰なんだい?」
しびれを切らした紅霧が聞く。ためらうように、口をつぐんだ桐子の代わりに静かに告げる。
……『モンスターママ、つまり冬矢のお母さんですね?』
「なんだって? あのおばさんかい?!」
紅霧が驚いて声をあげた。首を振って紅霧の大声を制すると、『間違いないでしょう』と返答する。
桐子も肯いて私の説を肯定すると、吹っ切れたように喋りだした。
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