263人が本棚に入れています
本棚に追加
Last Battle
主人は一度で起きたためしがない。寝起きがよくないのだ。
「起きてください、アイラ……。アイラ……、起きて……」
耳元で呼びかけるのと同時に、肩を掴んで、ベッドが揺れるほど揺さぶるがやはり起きない。仕方がないので、やや、いや……かなり、大きな声で呼びかける。
「ア・イ・ラ! 起きてください!」
「あれ? どうしたの、フラーミィ」
隣で寝ていたいつかが起きてしまった。
『黒の精命がまもなく満ちます。急いで黒の鏡を奪い返しに行かねばなりません。危険ですからいつかはここで待って』
「嫌! 今度は一緒に行くよ!」
いつかが飛び起きた。蹴飛ばされた羽毛布団が床に落ちてパフッと音を立てた。
最初のコメントを投稿しよう!