Last Battle

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 「危ない事しちゃだめよ、アイラ」  黙って運転に集中していたアイラの母上が、口を開いた。  「わかってるって。おばあちゃんもフラーミィも一緒だし、大丈夫だよ」  リュックから白の鏡を取り出して、運転中の母にみせた。  主人の母上は白の鏡の中に、すがるような視線をちらりと走らせ桐子の姿を確認すると、すぐに雨粒の打ち付けるフロントガラスの向こう側に目をやった。街灯の灯りはアスファルトを照らすには充分ではなく、ハイビームにした車のライトさえ闇に吸い込まれ、道の先は見通せない。主人の母上は、リュックに白の鏡をしまう主人に見えないように、そっと息をはいた。  「その角を曲がったところで停めてください」  スマートフォンの地図アプリを見ながら道を指示していた一来が言った。主人の母はすぐに左ウィンカーを点滅させ、ゆっくりと道の端に車を寄せて停車させた。  「フラーミィ、頼みましたよ。アイラ、Paljon Onnea!(パリヨン オンネア 抱えきれないほどの幸運を)」  彼女の母国語のフィンランド語で言うと、主人を抱きしめた。  「ありがとう、ママ。さあ、行こう!」
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