『モンスターは突然に』

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 いつかは浅葱先生の様子を見ていたが、やがて何かを決めた、というように小さく首をうなずかせた。そして耳元に口をよせて、「浅葱先生、この子が私と一緒にやるメンバーってことで登録してください」と小さな声で言った。私には聞こえたが、主人と一来には聞こえなかっただろう。  「ああ、そう。いいよ、わかった。識里さん、よかったね。一緒にやるメンバーが見つかったんだね」  と、浅葱先生は紙にペンを走らせた。  「はい。一年の」  「知っているよ。アイラ・ウィスハートさんだね」  「じゃ、お願いします」    いつかは浅葱先生に丁寧に頭を下げると、職員室を出て行ってしまった。  「識里さん!」  浅葱先生への挨拶もそこそこに、一来が慌てた様子で追いかける。  「ま、待ってよ。何か話があったんじゃないの?」  「ないみたいね」主人は長いツインテールをひるがえして、言った。  「それじゃ、私は帰っていいわよね?」
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