『密談はファミレスで』

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『密談はファミレスで』

 テーブルの上には、季節のタルトと三種のベリーのブリュレパフェ、チョコレートデニッシュプレート、三段プレートのアフタヌーンティーセット、ガトーショコラ、パンナコッタ、ブルーベリーソルベ、抹茶シフォンケーキ、自家製パンケーキ、ニューヨークチーズケーキなどなど……、が並べられている。  ファミリーレストランのデザートとはいえ、かなりの金額になりそうな量だ。テーブルの下で、いつかはそっと財布を開き中身を確認していた。  「アイラ、こんなに食べられないでしょ?」一来が咎めるように言う。  (一来が怒るのは珍しいですね)   私はスプーンを取り上げた。『いただきます』  「それに……、この子、いつの間にか一緒にいるけど、誰……?」  「あら。人を指さすのは、マナー違反なんじゃないの? それにこの位は、食べきれるわよ?」  主人は一来の質問には答えずに、スプーンを手に取った。  「いただきまーす」  頬を引きつらせている一来を無視して、アイラはベリーのブリュレパフェのてっぺんに乗った生クリームをスプーンですくって口に運んだ。「ん! 美味しーい」頬を左手で押さえる。     
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