『密談はファミレスで』

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 「ちびアイラだね」  「いつか、やめてよ。何なの、ちびアイラって」主人は食べかけのブリュレパフェを一来の前に押しやった。「取り皿はいらない。テーブルにもう乗らないもの。はい。一来、残りはあげる」  主人はいつかが食べようとしていた、ニューヨークチーズケーキを横取りした。すべて最初に食べるつもりなので、取り分ける必要も感じないようだ。三口ほど食べると、いつかの前に皿をもどした。    「なんでちびアイラの姿なの?」  一来はまだ納得がいかないようだ。  「同じ姿でいたら、おかしいでしょう。双子だと思われます。私自身の姿でも、目立ち過ぎますしね」  いつかがスプーンでカウントするように空中をたたきながら、「確かにフラーミィはイケメンなだけじゃなくて、髪は赤茶色に金色のメッシュが入っていて、それだけでもかなり目立つよね。その上、ツルンと光沢があって袖が膨らんでるシャツ着ている人なんて、見たことないよ」と口を挟む。  『シルクです。肌触りがとてもいいのですよ』     
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