『密談はファミレスで』

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 ちびアイラの顔で、上目遣いに見上げて微笑むと、いつかは「天使……っ」と(つぶや)いて、ソファに体ぼふんと寄りかかった。いつかの様子に首をすくめ、一来が聞く。    「そういえば……、ずっと気になっていたんだけど、フラーミィの姿の時にお腹に巻いてるものは何?」  『コルセットですよ』  「へえ……。どこか外国の貴族みたいだよね。確かにフラーミィの姿だと目立ちすぎるか」  一来はようやく納得したようにブリュレパフェに取りかかった。  「ちびアイラ、可愛くお話してよー」いつかがニューヨークチーズケーキをフォークに乗せ、手渡してくる。  面倒だが、その方が自然かもしれない。  『うん。わかったよ。ありがとう、お姉ちゃん』首をかしげると、細い髪がさらりと肩からこぼれおちた。  「か、可愛い~!」  いつかが抱きついてくる。人間は見た目に騙されやすいらしい。いつかの髪を一本引っ張って抜くと、試食する。  「痛っ! な、なに?」  「あ、ごめんね、袖のボタンに髪がひっかかっちゃったみたい」  すぐに謝ったのだが、いつかが髪の抜けた部分をコリコリ、と引っかいたせいで主人にばれてしまった。  「フラーミィ……。お行儀が悪いわよ!」  主人の叱責(しっせき)はいつものことと聞き流す。     
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