フラーミィと一緒

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フラーミィと一緒

 へっぴり腰というのを私は初めて目にした。    「夜の学校って怖くない?」  そう聞いてくる一来は、私の腕にしがみついている。時刻は午後七時の部活動の終了時刻を、三十分ほど過ぎたところだ。すでに他の生徒は下校したらしく、誰も残っていない。  先ほどから人型になっていた私は、一来を引き剥がす理由もないので、腕にぶら下げたまま歩いている。私のやや後ろから隠れるようにして歩く姿は、まさしくへっぴり腰と言われるものであろう。  『怖くはありませんね。影は闇と相性がいいのですよ』  と、優しく答える。人間の珍しい姿は大好物なのだ。  「そうなの?」  『闇自体が、地球の影のようなものですから』  「ああ、そう……」  一来は落ち着きなく左右を見回し、小さな物音にいちいち体を強ばらせている。とても面白い。  「なんで軽音部だけ、旧校舎に部室があるんだよ」  「仕方ないんだよ。音がうるさいし、機材は多いし」  一来の独り言のような文句に、いつかが答えた。  「先輩たちが卒業しちゃってから、部員は私一人みたいなものだったから。他に三人もいるなんて心強いよ」  いつか以外にも部員はいるのだが、名前だけの幽霊(・・)部員なのだという。     
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