フラーミィと一緒

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 「ベースはなくてもなんとかする。でもやっぱりドラムは欲しいな」  と言ったいつかに、主人が「ドラムは一来がやればいいでしょ」と勝手に告げたのだ。  一来は慌てて「ドラムなんて触ったことないよ!」と訴えたが聞こえないふりを決め込み、勝手に浅葱先生にメンバー登録をしてしまった。メンバー変更の締め切りがとっくに過ぎてしまってから登録の事実を告げられた一来は、ドラムを引き受けざるを得なくなってしまったのだ。  とはいえドラムは未経験なので、自然と練習は過密になり、今日も最終下校時刻まで粘って練習をして遅くなったのだった。  それにしても先ほどまでのいつかの一来への追い込みは面白かった。     「一来、ベースがいないんだから、そこはリズムをしっかり刻んで!」  バンドマスターのいつかの叱責がひっきりなしに飛ぶ。練習が始まってわかったことだが、いつかのギターの腕はなかなかのものだった。ベースがない分は、ギターでカバーするというだけのことはある。  「フラーミィ、一来に合わせなくていいから、思いっきり叩いて。体で覚えさせて!」     
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