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「先生、胃の調子はどうですか?」
「もう大丈夫だ。ありがとう。心配かけたね」という今日の浅葱先生は、顔色もよく声にも張りがある。
「よかった。心配していたんですよ。カメのちいちゃんに無事エサをあげられましたか?」
軽い調子でいつかが聞く。
「うん。帰りが遅くなったからね。いつものエサの他に、バナナもあげちゃったよ」
「えーっ、バナナ? 食べるんですか?」
「うん。うちの子はね、好きなんだよ。パイナップルも食べるよ。ほら、君たちも座ったら。その辺の空いている椅子を借りて」と言いながら、自ら立って椅子を二つ引き寄せてくれる。浅葱先生はなかなか親切な先生のようだ。
「じゃあ、早速なんですけど。体育館の放送設備は使っていいんですよね」
「うん。ミキサーもあるよ。前日にリハーサル出来るから、一度音を出しておこう。当日はステージ使うから、後夜祭の前はあまり準備の時間は取れないんだ。ええっと。スタンドマイクは何本必要?」
「ボーカルのアイラと、コーラスでギターの私、で二本です」
「イヤーモニターは使うかい?」
「あるんですか?」
「うん。ドラム用とボーカル用だけしかないけど。ギターはPAスピーカー(足元に置く演奏者用のスピーカー)」
「じゃあ、それでお願いします」
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