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少し手放しかけた意識を引っ張り戻すよに、ケータイの着信音が響いた。
「もしもし!慎也!!」
『ごめん、優菜待たせて。』
「うん、どうしたの…。」
声を聞いて泣きそうな自分がいた。
『勝手な事言ってるのは、わかってるんだけど。聞いてくれるかな?』
「うん、何?」
『優菜が許してくれるなら、グランホテルのラウンジに来て欲しい。』
「そこって、有名なホテルだよね?」
『待ってるから。』
「すぐいく!!だから、絶対に待ってて!!」
慌ててケータイを切って、この日のために用意してた白のワンピースとファーのついたコートを取り出した。
メイクをして、髪にアイロンをかけて、買ってあったプレゼントをカバンに入れて家を出た。
少し高めのヒールのせいで走りにくいけど、できるだけ急いだ。電車に乗って地元から5個目の駅で降りた。
ケータイのマップアプリを開いて『グランホテル』までの経路を検索する。
徒歩10分。
街は、少し大人っぽくて急ぎたいけど走るのがなんだか恥ずかしくゆっくりと歩き始めた。
クリスマスのイルミネーションが点灯を始めて、クリスマスが一層輝き始める。
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