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そりゃあ、クリスマスにテンション上がって誕生日が同じ日だなんて想像もしてなかった。
「どうしよ、プレゼント!」
その時、目の前のパーティー会場の扉が開くのが見えた。
「やばい、こっち来て。」
開かれた扉より先に近くの控え室に入る。廊下から『慎也さん、居るの?』と女性の声が聞こえた。
「今の声って?」
勝手についつい、小声になる。
「母さん、だよ。」
扉を背にしているとそっと彼の手が伸びてきて、扉の鍵を閉める。
ーガチャッー
その音に心臓がドキっとした。
「これで、少しは時間が稼げると思う。」
「……うん…。」
手を引かれながら、長いソファに二人で腰を下ろした。
「とりあえず、これ…。」
カバンの中からクリスマスプレゼントを彼に渡す。
「開けていい?」
「うん。」
箱の中を見て、大人っぽい雰囲気の彼がいつも様にフワッと笑った。
「綺麗だね。」
「ストラップは、お揃い。」
「ありがとう。僕からは…。」
まっすぐ私の顔を見ながら、彼の細い手が首にまわされる。
首筋に当たる彼の手が冷たくて、自分が熱くなってるのがわかった。
「…こういうの買うの初めてだから、喜んでもらえたら嬉しんだけど。」
白いワンピースの上に小さな月のモチーフのペンダントが揺れる。
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