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南校舎の屋上からでもはっきり見える。
タクヤが何処にいるのかは、すぐにわかる。
ダイヤモンドの真ん中で輝くダイヤモンド。決して大きいとは言えないその身体を、バネの様にしならせ放たれる白い点。点が線になり、直線を描いた。空を切るバットの音が聴こえてきそうだ。
なんて気持ちよさそうに投げるんだろう。
「よく来れるね?逃げてればいいのに」
私は、またくだらない『呼び出し』を受けていた。
あんた達が怖いから、言いなりになってここに来たわけじゃない。自分の意志でここに来た!タクヤを観るために。
「タッくんが他の女に取られたらあんたのせいだから」
キズが目立つと厄介だからと、小突かれる程度だった。その代わり、たくさんゴミを投げつけられた。
「くだらない……」
「なに?なんか言った?」
「あんたの好きなタッくんならあそこにいるでしょ?どこ見てんの?私を相手にしてタクヤが振り向くわけ?気持ちをぶつける相手が違うんじゃないの!?」
頬に電撃が走った。
「生意気」
そう言って去っていった。
頬が痛い。けど、胸はもっと痛い。
ピッチャー返し。
全力で投げつけた言葉が反射して返ってきた。
自分で発した言葉が胸に刺さる。
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