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プロローグ
遥か遠い昔、大地母神ガイアから生まれ、たくさんの神々とたくさんの種族がギリシアに息づいていた。
神クロノスを父に、レアを母に、二つの命が誕生した。神クロノスは、王位継承者を疎み、次々と執拗に我が子の命を狙う。
母レアは二つの命を、神の加護の元、遠い未来へと送り出す決意をした。父の手の届かぬ先へ。
名前さえつけられず、無垢に笑う双子の赤ん坊がそこにいた。
レアは祈りを捧げ続けた。
どうか、生きて___
愛しい坊やたち___
二人の幼子の身体は、神の力によりまばゆいばかりの光に包まれ、そして消えた。
我が子達は何処へ___
レアにも知る術はない。ただ、二人の無事を願った。
やがて時は経ち、神クロノスにかわり、ゼウスが王となるが、未来へと送り出した我が子を、探しあてることは叶わなかった。
遥か遠い昔の、もう誰も真実を知らない、遥か遥か遠い昔の出来事。
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