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握っていたばば様の右手に、弱々しく力がこめられた。
「ジュピター、よく聞くんじゃ。もう、力を使ってはならん。ばば様の最後の願いじゃ」
え・・・?
もう何も助けちゃいけないってこと?
僕は困惑した。それは良い行いだと思っていたから。
「お前さんの、命を縮めるやもしれん。力は使ってはならん。約束じゃ、ジュピター」
僕の、命___
「かか様を悲しませちゃいかん。わかるな?」
「はい、ばば様・・・」
ばば様にお願い事をされたのは、はじめてだった。いつも、穏やかに僕に寄り添うように、そばにいてくれた。
そのばば様の、お願い事なんだ。
「約束するよ、ばば様」
僕の言葉を聞いて、安心したのか、ばば様は眠りについた。
数日後、ばば様は安らかに永眠した。
悲しみもさみしさも、なんだかよくわからない悔しさのような感情も、はじめて人の死を前にして、僕の心はいろんなもので溢れていた。
それから間もなくして、母ミリーが僕に告げた。
「ジュピター、お兄ちゃんになるのよ」
弟か妹が、数ヶ月したら生まれるんだという。びっくりした。でも、とても嬉しい。
「かか様を気遣ってくれな」
とと様も、嬉しそうに見えた。
「ん! なんでもお手伝いするよ」
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