43人が本棚に入れています
本棚に追加
/124ページ
ー光輝く時
ばば様が体調を崩し、心配したとと様は、ばば様を家に連れて来た。
とと様は畑仕事があったし、かか様は機織りの仕事があったから、日中の僕のお手伝いは、ばば様のお世話にかわった。
ばば様は、時折寝床から身体を起こし、僕に昔話しをしてくれた。
まだ耕されてもいなかった畑のことや、湖に住む動物達のこと。村に移住してきた人々の話なんかを。
「時に、ジュピター」
「なあに、ばば様」
水差しをかえながら、僕は返事をした。
「また、光は現れたか」
ぎくっとした。ばば様の聞きたいことは、すぐにわかった。
「おいで、ジュピター」
ばば様の枕元に近寄ると、ばば様のしわがれた右手が、僕の方へ差し出された。
僕はその手をとり、その場にしゃがんだ。
「優しい子じゃな。また助けおったか」
「鳥さん・・・と、あと、犬・・・」
ばば様にはお見通し。正直に起きたことを答えた。
「光を見たあと、お前さんの身体はどうじゃった?」
細い眼が、こちらに向けられた。僕を心配する、ばば様の優しい眼差しだと気が付いた。嘘は、つけない。
「すごく、眠くなるんだ」
「つらいか?」
つらい・・・とは、ちょっと違うかな。
「わからない。ただ、とても眠くなるんだ」
最初のコメントを投稿しよう!