趣味とバイトと白雪くん

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 僕は、昔から一人で居る事が多かった。自分に自信が無くて性格は暗くなり、人に話し掛ける事も出来ない。だから友達は出来なかった。  そんな僕には、他人に言えない秘密がある。  それは… 「っ…赤羽様の新曲…!」  男性アイドルが好きな事。そんな趣味が出来たのは、中学の頃だった。  たまたまテレビで見ていたアイドル達が歌も上手でとてもかっこよくて、すごくキラキラしてて。僕が持っていないものをいっぱい持っている人達に、すごく憧れを持った。  中でも、一番好きなのは赤羽汰斗だ。雑誌のモデルや歌手活動、俳優もしていて僕の神様のような存在。  今日も僕は即効家に帰り、赤羽様が新曲を歌っている歌番組の録画を見ている。  赤羽様を見ている時が、本当に幸せだ。芸能科がある同じ高校に通ってて、遠くで応援しているだけで幸せだった。  それなのに、僕の日常はある出来事のせいで大きく変わる事になった。  ― ― ― ―――― 「ねぇ知ってる!? 赤羽汰斗の写真集の帯に付いてる応募券貼ってハガキを応募すると、赤羽汰斗の握手会に参加出来るんだよ!」 「あー……しかも写真集にサイン貰えるし、一緒に写真も撮ってもらえるんでしょ? でも抽選で百名様って、絶対無理でしょ」 「けど、普通科の生徒は芸能科の校舎行けないし……こういうの応募しないと近くで見れないよ!」  握手会でサインと写真……! 写真集は今日ネットで頼んでいたのが家に届いてるはず…! 早く家に帰って確認したい…!  教室で一人弁当を食べながら、そんな事を思っていた。
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