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「とりあえず話だけでもお願いよ! いろいろ説明するから!」
「あ、ぼ、僕家に帰らないと……あ!?」
逃げようとしたのに腕を捕まれて。ものすごい力で引きずられた僕は、店の中へと招かれてしまった。
「っ……」
そこのお店はぬいぐるみや小物が飾ってあり、とても可愛らしい雰囲気だった。奥にはキッチンもあり、可愛いティーポットや紅茶缶、メイドさんらしき人が写っている写真もあった。
「め、メイド喫茶……?」
「そう! 正しくは女装メイド喫茶ね!」
「じょ、女装……!? いっ、あ、ぼっ、僕そんなの無理で……!」
「まぁまぁ! とりあえず座って! 私の勘が正しければ、あんた良い線行くから! ちょっとおとなしくしてて!」
強引に椅子に座らされ、そのまま何分か拘束された。顔に化粧を施されている。
「あとは、仕上げにこれね……!」
頭に何かを被せられた。ウィッグみたいだ。
「あら、すごく良いじゃない! ほら、目開けて!」
言われた通り目を開けると、店長さんが鏡を持ってくれていた。
そこには、長い前髪で顔を隠すいつもの暗い印象の僕ではなく。見た事がないさらさら黒髪ロングヘアの女子が写し出されていた。
「だっ、だ……誰!?」
「貴方よ! やだー想像以上よ! 貴方ここで働きなさいよ! きっと人気出るわ!」
「えっ!?」
確かに姿は変わったけど……別人の様で嘘みたいだ。でもこの姿で働くなんて。
「あ、あのっ……僕接客なんて無理です! 人と話すの苦手で……」
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