歌と想いと幸福感

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 どういう事かわからない。彼の言葉を聞き逃さないように必死に耳を傾けて、思考を巡らせようとする。 「俺、悠希くんの事好きだよ」  僕が彼に隠そうとしていた感情と言葉が、彼から僕に対して言われたんだろうか?  頬に熱を帯びて、心臓の鼓動も暴れ狂っていた。 「そ、それは……メイドの白雪として好きって事じゃ……」 「違う。きっかけはそうだったけど、俺は真白悠希が好き。女装して握手会に来てくれて。普段は控えめだけど誰よりも俺を好きな気持ちが強くて。俺の歌を心を込めて唄ってくれる悠希くんが好きだよ」 「っ……」  嘘みたいだ。信じられない。  彼への気持ちを隠そうと決めていたのに、彼から告白されるなんて思ってもいなくて。胸がいっぱいで、涙が出そうだった。 「俺悠希くんにキスしてから積極的にアピールしてたつもりだったんたけど……気付かなかった?」  あのストレートな言葉はそういう事だったのか。そこまでの意図があるなんて知らなかった。 「ま、まったく……。あ、でも、僕は赤羽さんのファンで赤羽さんアイドルなのに……もし他のファンに知られたら……」 「それは秘密にしなきゃいけないけど……でも、しばらくは君のクラスの女子達はおとなしくしてくれると思うよ。悠希くんと仲良い子達が犯人を突き止めてくれて、さっき会いに行って怒ってきたから」 「お、怒って大丈夫なんですか?」 「好きな子傷付けられてすごく腹が立ったからさ、ここで黙っておける程俺は優しくないんだよ。それより……」
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