歌と想いと幸福感

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「そういえばもうひとつ悠希くんに報告したい事があって。今日雑誌の取材と写真撮影だったんだけど……俺事務所の人と相談したんだ。本当の自分を出したいって」 「えっ!?」 「さすがにメイド好きでメイド喫茶の常連ていうのはまだ内緒だけど。ゲームとかアニメ好きを少しずつ認知してもらって、いずれは言おうと思うんだ。仕事の幅が広がるかもって、事務所の人も承諾してくれた」 「良かったですね」  きっと兄さんの言葉の影響だろう。  ファンの中には、今回の僕の時みたいに受け入れられない人も居るかもしれないけど。きっと彼も、それでも良いと思えたんだ。彼らしくイキイキと仕事が出来ると良いな。 「いずれ恋人だって事はお兄さん達に言わなきゃいけないけど、しばらくはこれも二人だけの秘密だね」 「そ、そうですね……頑張って隠します」 「うん。それからクラスメイトにも、悠希くんが女装でメイドしてる事も内緒にね」 「あ、それはその……言おうと思ったんですけど……」  すると彼は少し僕の方を振り返った。 「だめ。きっと文化祭がきっかけで悠希くん人気出ちゃったから……メイドの白雪ちゃんは俺が独占するから、覚悟してね?」 「っ……」  彼の独占欲と変態気質の面がもっと発揮されそうで。これから大変そうだと思いながらも、彼との恋人としての時間を楽しみにする自分も居る。  深くは考えず、背中の温もりに幸せを感じて、そのまま擦り寄るように頬を寄せた。 End.
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