私の居場所

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私の居場所

私の居場所。それは誰にも邪魔されることなく背中を預けられる場所。そしてその背中に沿うようにお母さんの体温が私に伝わる。足元から伝わるその冷たさなんて私には関係ない。だって私の体はいつもここに居場所があるのだから。 「お母さん、お父ちゃん、今日は遅いねぇ。どこへ行ったの?」 「あなたも大人になれば分かることよ」 いつも質問する答えは必ずこれだった。でも今日は違った。 「お母さん。今日も父ちゃん、遅いね?」 「アウー?」 その回答はいつもと異なる。それどころか声も違った。いつもの居場所から背中を離して後ろを振り返る。茶色く湿った大きな皮がそこにあった。そして上を見上げるとヒゲに白い角……いや、牙があった。これはセイウチだろう。お母さんが昔に教えてくれた。道理でさっきまでじめっとしていたわけだ。 「アウー?アウアウー?」 そして教えられたのは奴が危険だということも。セイウチは体を動かしては頭を上下に揺らしてる。 「僕は美味しくないよ?」 「アウー?アウアウ。アウー!!」     
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