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警備員スズキ
四天王の面々は、一斉に膝をついてお辞儀をしていた。
今までも引き締まった空気だったが、それがさらに張りつめたような、全身がピリピリと痛む雰囲気に変わってしまっている。
魔王は笑みを浮かべて言った。
「楽にせよ」
その一言で全員が顔を上げた。やっとさっきまでの空気に戻った感じだ。
魔王は椅子に腰かけると僕を見た。
「さて、小生がリーダーの…」
『ベルフェゴールさん…ですね』
そう答えると、魔王はおっという感じに口元を動かした。
「凄いな! もしかして人の名前がわかるのかな?」
『はい、頭の上に映るんです』
「興味深い」
魔王はじっと僕を眺めた。
「良かったらうちで働かないか。働きによっては領地も出せる」
領地。まるで戦国時代の大名が言いそうなセリフだ。
ここまで手が込んでいると、強盗団というよりテレビ局の仕掛けたドッキリという感じだ。
空気を読んで乗っておきながら、最後に"知ってた"というつまらない反応でも返してやるとしよう。
『わかりました、ですがその前に素顔を見せてもらえませんか?』
そう答えると魔王は笑った。
「構わないが…そんなに見たいか?」
おや、強盗天使は口を尖らせたではないか。
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