2人が本棚に入れています
本棚に追加
『うわっ!?』
突然地震に襲われて、僕は体勢を崩した。
エレベーターの照明が落ち、周囲が真っ暗になってしまった。見回りの途中だというのについてない。
『まじかよ。定時で上がらないとボーナスタイム終わっちゃうじゃないか…』
真っ暗なエレベータの中で待つこと3分。動く様子はない。
僕は懐中電灯を出すと、コールセンターに連絡を取った。
ところが応答がない。さらにじっと数分待ってから、再びコールセンターに連絡してみた。応答がない。
僕は息を吐くと、エレベータの壁に腰かけて待つことにした。
腕時計に目をやると、すでに30分余りが経過していた。イライラする。本当に何なんだ今日は。
最近は停電が起こっても電気の復旧は早かったはずだ。これは何かあったのだろう。
僕はエレベータの扉をこじ開けた。重い。5分ほどで、何とか外に這い出ることができた。
廊下に出るとガス灯のような光が並んでいた。こんなものはビルになかったはずだ。
懐中電灯を照らすと、妙に古めかしい壁まで映った。
『コンクリートじゃない!? 何だこれ…』
足元を照らすとそこには大理石が敷き詰められていた。うちのビルの床はビニール素材だったはず。
天井を映すと大理石で出来ているし、そもそも天井自体が高い。まるで古代遺跡にでも迷い込んでしまったかのように感じる。
十字路に差し掛かった。
最初のコメントを投稿しよう!