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竜の爺さんが懐中電灯を指さした。
「で、その光る杖は何ですかな?」
ボケているのか、それともネタで言っているのか。どうも判断に困る爺さんだ。
『懐中電灯ですよ』
僕はそういうとスイッチを切った。
すると、全員が「おお!」と声を上げて驚いた。
「消えた!?」
「何だこれは、新たな魔法か!」
「あり得ん、このサイズであの明るさとは…どうなっている!」
今時、懐中電灯を知らないとは。あり得ない。
魔王は身を乗り出して言った。
「お主…光魔法の使い手か!?」
RPGじゃないんだからさ。
いや待て、ここまで身体を張ってネタッてくれているのだから、こちらも相応しい態度を示すべきか。
『僕自身はただの人間です。この筒は魔法が使えなくても光魔法を使える画期的なアイテム!』
ただ光るだけだけど。
そう自分に突っ込みを入れている間も、コスプレ集団は「おお~!」と驚きの声をあげた。
思った以上にノリの良い人々だ。
魔王はじっと僕を見た。
「とにかく…何と言ったか、その光る杖のことはもういい。
お主はなぜ我が宮殿に潜入した。誰の指示だ?」
会話が戻された。ここから先は警備員としてビシッと言うしかない。
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