第1章 ~恋の始まりは突然に~

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 「坂宮!これ、松田に渡しておいて!   んで、お前は絶対に見るなよっ!」 一枚の手紙を坂宮に渡し、校舎の階段を一気に駆け降りる。 赤くなる顔を少し隠しながら校門を出る。 不安でいっぱいだったけど、少しすっきりした。  「…。   坂宮のやつ…ちゃんと渡してくれたかな…。」 少しうつむきながら、夕日の沈んだ帰路をたどる。 ~四ヶ月前~ 夏休みが明けて久しぶりの学校が始まる。 制服に身を包み込み 鞄に手を取り、勢いよく玄関を出る。 私の名は高倉紗香(たかくらさやか)。 南港中学校の二年生。 太陽で照らされた道路の上を走る。  「今日も暑いな―。」 そういいながら友人の待つ待ち合わせへと足を運ぶ。 待ち合わせ場所には 久しぶりに会う友人が待っていた。  「おはよう紫苑。   今日も相変わらず暑いね。」 彼女の名は賀戸紫苑(かどしおん)。 大切な友人の一人で、ちょっとおバカな面が多いけど いつも笑わせてくれる。  「おはよー。暑いよねー。   始業式早く終わるといいなぁ。」 各自の夏休みの話をしながら学校へと向かう。  「ねーねー!私ね!   松田君たちとね夏休みにアニメイトに行ったんだよ!」  「いいじゃん。   よかったね、松田君と出かけられて。」  「ちょとー…   からかわないでよ。」 彼女は松田蒼汰のことが好きだ。 いつも恋相談をしている。 そんな話をしている間にあっさりと学校についた。 校舎の階段を駆けのぼる。 教室の扉を開けると  「あ、紫苑と紗香じゃん。二人ともおはよう!」  「日和!おはよう!」  「おはよう!」 彼女は稲山日和。 大切な友達のまた一人で、学年内でもかなり勉強のできる優等生だ。 でもよく授業は寝ている。  「そろそろ時間くるから体育館に行こ。」 素手の準備を終えた紫苑が体育館用のシューズを持っている。  「うん行こうか。」  「そうだね~。眠いけど。」 そういって私達三人は体育館へと向かう。
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