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何時からだろう?あまり定かではないけれど写真スタジオの「白ホリゾント」のような世界で、音も無く、声も無く、だから、どうやってコミュニケーションをとれているのか分からない環境で数人の召使い?の様な人に身の回りの世話をしてもらいながら何だかそれでも快適に生活出来ているのだ。
何か不思議な世界ではあるけれど、居心地は悪くない、むしろ痒いところに手が届く、以心伝心で彼等は何でもしてくれる、本当に王様になったようなそんな世界。
この白ホリの世界から抜け出そうとかそんな事、微塵も思わないし永遠にこの世界を統べる事ができれば、永遠にこの家来だか従者だか分からない人達に?ずかれて楽に生きていければなんて、ついつい考えてしまう。
唯一、たまにイラつくのが体の自由があまり効かないことだろうか?手も足も出ない、てか、首さえも満足に動かないものだから、何だかアイコンタクトてか白ホリゾントの天井?を見詰めながら願うと通じてしまう超能力者?のような不思議な世界。
何時から今迄?1週間か?10日か?1ヶ月か?まさか1年?この楽な環境に慣れ過ぎて感覚が麻痺しているみたいだ。
それでも、たまに回想シーンのようにリアルな現実の風景がインサートされる。突然だ。時間がどれだけ過ぎたか見当はつかないけれどその風景がインサートされる時間の割合が少しずつ増えているように感じてきた、そうすると今迄の夢のような時間が少しずつ減りはじめ何だか苦痛を伴う展開も増えてきた。
苦痛は苦手なんだよな、そう、思いながらも逃れられないたまに訪れる痛みは我慢して耐える事にする。
するとある時痛みに耐えて居ると視界の風景がカットアウト、カットインした。矢張り白い風景には世界には違わないけれどさっきまで見ていた世界と見た目は変わらないけれど、驚いた、音がある。騒がしく雑然とした此方が現実らしい。何かのタイミングで現実世界に戻れたのだろうか?それとも戻されたのだろうか?枕元の担当医師に聞くと約20日前に僕は救急搬送されたらしい、「大動脈解離」、中々の大病だ搬送途中に手遅れとかもあるらしい。そんな話をICUで耳打ちされた僕はなかなか強運だ。
日頃のツキのなさがこれ1回で帳消しになった気分。夢かどうか?ずいていた家来みたいな従者みたいな人は意識朦朧とたまに見えていた看護師さんや先生だったのかな?後で話すと「麻酔が効いてるから」それは無いと。
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