船出

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船出

そう言えば、オレは飼い慣らされた野良猫みたいなものだったと思い出した。母は元ホステスで、オレの実の父の関心を取ろうと必死だったらしい。恐らくオレを妊娠したのも計画的なものだったのだろう。母は妊娠を告白した途端に父に捨てられたらしい。これは施設を出た時に偶然会った母親筋の親戚から聞いた話だ。 施設を出たのもいいが、オレは頭の出来はよろしくなかった。働き口が肉体労働しかなかった。でも、そんな体力のないオレは非合法で女相手にウリをすることで生計を立てていた。ホステス時代NO.1だった母親譲りの顔立ちに甘さが加わった俺の顔は少年から青年期への過渡期にあったせいか、やけにオネーサン方から人気があった。身長も178cmで細身だったし、お手頃感があったのだろう。 勿論、行為中は生ではしないし、定期的に検査も受けていた。 ウリを三年程し続けていたら、突然今の店の系列店のホストクラブにスカウトを受けた。だが、元来下戸なオレはその誘いを蹴ったが、スカウトマンはしつこかった。では、黒服としてならどうなのかと聞いてきた。     
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