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始まりの終わり
「おはようございまーす… 」
「真純っ!お前、遅すぎんぞ! 」
真純がクラブRougeに着いた時には開店する直前だった。そのためか、真純の声は消え入りそうな声だった。同僚の潤は真純の遅刻に目くじらを立てるが、真純はどこ吹く風であった。
「ほらほら、ミーティングやるよ」
店一番の年嵩の美中年の工藤支配人が二人を促し、店全体のミーティングに入ることとなった。
「指名NO.1は相変わらずリサだね。他の子達もリサに追いつけるよう頑張って。あと、黒服の皆もキャストさんのヘルプをお願いしますよ」
「はい」
支配人の言葉にキャスト、黒服は声を出した。黒服達の後ろ側にいた真純はこっそり欠伸をした。隣にいた潤が真純を小突くが、当の本人は意に介した様子も悪びれた様子もない。
「では、オープンしよう。我孫子君、君はオーナーが部屋で待っているよ。いってらっしゃい」
その瞬間、キャストや黒服の視線が真純に突き刺さる。リサに至っては手を振っている。真純はその雰囲気にモヤモヤとしたものを感じたが、自分のせいかと諦めた。
「じゃあ、オーナーの所に行ってきます」
そういうと真純は踵を返し、オーナーズルームへと向かった。
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