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「どうせリサ辺りだろ。あのビッチ……」
「リサちゃんは優しい!! 」
初めて真純はオーナーの鳶色の目を見た。
だが、それを嘲笑うかのように言った。
「真純ちゃんよ、それはどうだかなぁ……
リサの客は枕だからな。年増だし、これ以上に股が緩くなったら客が引くんじゃねぇの?」
真純は昨夜と言わず何度かリサを抱いたが、確かに性器への締め付けは強いとは言えなかった。どちらかと言うと口淫など、男を満足させる性技だった。
だが、真純にとってリサは母親の匂いがするようで、誘われたら乗らずにいられなかった。真純はなんとも言えない顔をするしかなかった。
「なんだよ、その顔?母親でも思い出したか?ビッチなリサを通して」
「オレには母親なんていません」
皮肉気なオーナーの言葉に、真純はそう答えた。
真純には母親がいない。正確には六歳の真純を残して命を絶ったのである。
「まぁ、お前の母親やらリサのことはどうでもいい。お前には知人の店で行儀見習いをしてもらう」
「だから、辞めます。帰るんで、どいてください」
これまで見せたことの無い真純の表情に、オーナーは厳しい顔を見せ、言った。
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